叛逆の狼煙

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ミア「ふぅ…風が怪しいな。」 「そうですね。」 外壁の上に上がった私たちはふと空を見上げた。 ソティー「えっ?どういうこと?」 ソティーは私たちの言っている意味が分からないらしい。 ミア「今日の任務はびしょ濡れになるかもしれないって事だ。」 ソティー「え゙っ! びしょ濡れはちょっとなぁ…」 ソティーはむーと言って片頬を膨らませる。 確かにびしょ濡れはな… 「びしょ濡れ…ゴク」 「おい。 隊長に精神的に殺されるぞ。」 あれだからな… 兵士と言えど男。 気にならない訳がない。 ソティー「はぁ…」 ミア「許してやれ。 男のサガだ。」 ソティー「分かってるけど…」 ユリトはあんな事しないもんと外壁の手すりに肘を乗せて遠くを見る。 ミア「さて。 お喋りはここまでだ。 各自持ち場に付け。」 「「「はっ!」」」 隊員達の表情は一気に締まり、キビキビと持ち場につく。 後は近寄る魔物を監視するだけだ。 街の喧騒を背に静かな外壁上は僅かながら張り詰めた空気を漂わせている。 ソティー「(ねぇ。ミア。)」 そんな中すぐ近くにいるソティーから送られてくる念思魔術。 ミア「(どうした?)」 ソティー「(あの人たちは何を監視してるの?)」 あの人たちとは土の当主の私兵の事だ。 私も昨日から気掛かりだったが、やはり間違いないようだ。 ミア「(私たちだろうな。)」 ソティー「(だよね。 でもなんで味方の私たちを監視する必要があるんだろ?)」 確かに常識的に考えてあり得ないが、考えられる要因は2つある。 信用されていないか… ミア「(敵として見られている。)」 私兵もなかなかの強者であの瞳の奥には殺気が混じっている。 ほんのごく僅かの殺気は私たちに向けられ、今か今かと合図を待っている。 と言った所か… ん。空が曇ってきたな。 ソティー「本当に降りそうだね…」 それを見たソティーはポツリと嫌そうに呟いた。 遠方を見ると白くもやがかかっている。 どうやら霧雨らしい。 ミア「視界が悪くなるな…」 街も徐々に静かになっていった。image=440784724.jpg
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