叛逆の狼煙

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ソティー「土砂降りじゃなくて良かった。」 ミア「長時間いれば変わらないさ。」 だよねぇとソティーは溜め息をつく。 サァサァと降る霧雨は周囲の視界を簡単に奪っていった。 視界が悪くなった事により、敵の発見が相当遅れるだろう。 より機敏な対応が迫られるな。 いくら目がよくてもこれでは使い物にならない。 コーゥ 懐からなる小さな音。 どうやらユリトかららしいな。 ミア「西門警護隊指揮隊長ミアテイア・リースル。」 ユリト「異変は?」 連絡魔道具から聞こえる端的な質問。 ミア「霧雨の影響で視界が悪い。 敵の発見が遅れる事ぐらいだ。」 ユリトは一呼吸置いてから話を始めた。 ユリト「地方貴族が反乱を起こしたらしい。 詳細はまだ分からない。 ただ各地で起こっている事は確かだ。」 貴族の反乱か… 目的はなんだ? 戦力の分散? 国直部の分断? ユリト「まだ反乱軍に対しての処置は決まっていないが、反乱軍が王都に向かっているのは確かだ。 これで貴族政の奴らも推し進め易くなったろうな。」 ユリトは最後の声を大きめにしてわざと嫌みらしく言った。 ユリトらしいと言えばユリトらしいな。 ミア「私たちは待機か?」 ユリト「まぁそう言う事になるな。 俺達を王都から離したい奴は何人かいるんだろうけどねー。」 んじゃ引き続き警護よろしく!と言って通信は切れた。 ソティー「反乱…」 ミア「貴族にとって実力政は不利益な事だらけだろうからな。」 家の地位で国の上層部にのさばっている貴族はごまんといるからな。 ソティー「まぁそうだけど… 確か叛逆って死罪だよね。」 ミア「ん?確かそうだな。」 この国は強い主従関係により作られたと言われている。 それ故に君主に逆らうのは有り得ない事だった。 君主から受けた恩を仇でかえすとして死罪だ。 私も生きている年代が長いためにある程度は知っている。 長い戦乱の時代もこの国は下剋上なども起こることなく反映した。 それも歴代国王が非常に有能な人材だったからだ。 しかし時の流れは恐ろしい物で貴族たちの意識は変わり、庶民を守り王に尽くす騎士ではなく、庶民に守られ王と共に庶民の上に立つ存在という意識に変わっていった。 この意識の移りはどの国も同じであった。 ソティー「ログスとルミク。 ウェルの家も貴族政なんだ…」 ミア「! 覚悟は決めて置いた方が良いかもしれない…」 ウェルは既に絶縁しているから大丈夫だろうが… ログスとルミクだな…
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