叛逆の狼煙

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ウェルside 魔術攻撃が途絶えてから全く反応がない。 攻めてくる訳でもなく、陣を構え始めている。 どうやら籠城戦になりそうだ。 レイヤン「ウェル。大丈夫か?」 ウェル「大丈夫です。」 昼に反乱軍が到着してから五時間ほど経過している。 レイヤン「他の反乱軍の増援を待っているのか分からないが、ずっと気を張っていても戦う時にもたないぞ。 休める今の内に休んでおけ。」 ウェル「はい。」 私はレイヤンさんの言葉に従い、外壁の内にある仮眠室に向かう。 攻めよりも守りの方が精神的な摩耗は大きい。 ましてやソティーやミアさんのような魔術師に精神的な摩耗は命取りだ。 ソティーは大丈夫だろうか? 私は魔武器による戦闘が主だから、精神的な摩耗はそこまで影響しない。 ん? 何か飛んでくるな。 階段を降りようとしたとき、町側から何か飛んで来るのが見える。 黒い翼… ユリトか? でも… 何か違う? 「ウェルだぁ!」 子供!? ウェル「きゃあ!」 レイヤン「どうした?なんだこの子は? か、かわいい…」 でもこの子… どこかでみた記憶が… 「あ!レイヤンいた!」 黒髪黒眼の男の子は私の上から降りるとレイヤンの前に行く。 レイヤン「いた…って…」 「んとね。レイヤンにおしろにきてっていってたよ。」 レイヤン「誰が?」 レイヤンさんは屈み目線を同じ位置にする。 「あ。ユリトがいってたの。」 「見ない子ですね。」 隊員の一人が男の子の顔を眺めながら呟く。 レイヤン「あぁ。」 レイヤンさんは立ち上がり、この子の言葉を信じていいものかどうかを考えているようだ。 「でも黒髪黒眼だから… 隊長の隠し子とか?」 レイヤン「流石にそれは… ないとは言い切れないか…」 ああ。思い出した。 ウェル「クリクか?」 レイヤン「え?」 どこかで見たことがあると思ったら、夢の中に出てきたクリクにそっくりだ。 クリク「あれぇ?ユリトはぜったいみんなきづかないっていってたんだけどなぁ。」 クリクは可愛らしく首を傾げ、ん~と唸る。 レイヤン「クリクなのか?」 クリク「うん。クリクだよ?」 やっぱりそうか。 レイヤン「よく分かったな。」 分からなかったとレイヤンさんはまじまじとクリクの顔を眺める。 ウェル「はい。実は… いえ…なんとなくです…」 うう…思い出してしまった… でも…いいな… レイヤン「?そうか。」 レイヤンさんはいったん首を傾げるがあまり気にしなかったようだ。 流石にあの夢を話すのはちょっと恥ずかしい…
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