叛逆の狼煙

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ユリトside 高く広い天井。 俺は既に白兵戦特化の自律魔道具を大量にぶら下げていた。 勿論ほかの人間には見えないよう魔術で細工してある。 構造は屋敷のジェーヴォルフの魔道具と同じ原理だ。 下では罵声。罵声。罵声。 もはや会議の意味をなしていない。 現在貴族政派と実力政派の勢力はほぼ対等。 どちらかと言えば実力政派が僅かに有利だ。 俺は昨日からこの会議室に居る。 朝に国直部の皆を騙してまでここに来た理由は、陛下の護衛のためだ。 クリクにはバレて、ついて来ちゃったけど… ヤカザイン「私は貴族政に戻すつもりはない。 たとえこの命果てようと王族は民を守る責任がある! 忘れたか! 忠実なる騎士達よ!」 突然響く重く空気を叩く声。 一瞬にして静かになる部屋。 来るかな? ユリト「クリク。 ソティーとミアとレイヤン呼んで来てくれないかな?」 クリク「うん。」 俺は上の窓をそっと開けてクリクを外にだす。 行くときは人間の姿になるように念を押して。 ばれないかと聞かれたけど、まず人間時のクリクを知らないから絶対ばれないだろう。 ミアなら何となくで分かるかな? さーて。 下では更に波乱が起こって、収拾が効かなくなっている。 陛下の言葉で一瞬静かになったが、実力政に流れる貴族がちらほら。 んで流れた奴に対しての罵声。 どっかの国の政治風景に似てるね。 それはそうと土の当主が何か合図をしたな。 それを見た光の当主は軽く頷く。 「黙れ!」 光の当主の声が響き、静かになる。 俺も準備しとくか。 魔道具兵に魔力を流し、起動させる。 光の当主は立ち上がり、陛下の前まで歩き出す。 その距離僅か3m。 ヤカザイン「席に戻れ。 光の当主よ。」 「陛下。 我が祖先は陛下に仕えた騎士です。 民は王族と騎士に守られる存在。 それは今も変わらないのです。 民に守られた騎士など名折れ。 陛下ならば私の思いは察して頂けると考えております。」 ヤカザイン「確かにその通りだ。 しかし貴族は守る側から支配する側へと変わりつつある。 それと同時に貴族の魔力は衰え、市民にも貴族と匹敵する魔力を持つ者が多く現れ始めた。」 貴族の力は衰えた。 正確には魔力を振るう場を失ったが故に向上がない。 民は貴族の権力に抗うために長い時間をかけて魔力が解放された。 民は権力と言う「悪」から自分を守るために魔力を解放した。
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