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目的もなくぶらついていると普段なら訝しげな目で見られるのだが、今は皆自分の事に手一杯らしく誰一人として僕を相手にしなかった。
やること成すこと口出しされるのもいい気がしないが、空気みたいな存在もまたそれはそれで嫌なものだ。
トイレに行こうと角を曲がると田所さんと出くわした。
僕に会うなり
「いやぁ、まいったね。知ってる?春日井君。会社ね倒産するんだって」
明るい口調で何を言うんだ?状況を飲み込めず呆然と立ち尽くしてしる僕に構わず話しかけてくる。
「以前から倒産のタイミングを伺っていたみたいなんだけどさ、そこに僕がやらかしたミスが加わって倒産だって。もう笑うしかないよねアハハハハ」
…僕のミス?
「制作途中の映像を要らないと言ったのに、後になって必要だ!とかさそんなの連絡しない上司…」
冷静さを失い後の事なんて考えず顔面を殴っていた。避ける間もなく綺麗に当たり壁へと激突する。
「何が『僕のミス』だ!そんな話しをヘラヘラと…」
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