第壱幕 発見(スカウト)

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その問い掛けに少女は答える。 『申し訳ありません、紫様。 私はそんなつもりじゃなかったのですが……』 そう言って彼女はひび割れた地面に目をやる。 『侵入者は一人だけかしら?』 歪みから紫と呼ばれる少女は地にゆっくりと舞い降り言った。 『そのようです』 受け答えする少女は、紫と呼ばれる少女に対し敬服の念を持っているようだ。 『藍、急ぐわよ。 結界は深刻なダメージを受けているわ。 早く修復しないと大変な事になる……』 『御意』 二人は消えるようにしてその場を去った。 彼女達は微かに点滅する魔法陣の跡に気付かなかった。 それはまるで、ミツバチの餌の在処に仲間を導くサインのようにも見えた。 しばらくそれは点滅していたが、やがて何もなかったかのように消滅した。 まだ雪の深いの満月の夜の事であった。
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