宵の明星

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 けれど、こんな世界にだって多少の愛着はある。恥ずかしながら、心を許せる人だっていた。  そんな支えさえ、些末なものとして埋もれてしまう程につまらないんだ。  どうしたって、どうなったって変わりはしない。過酷で残酷で、どこまでも現実的な現実。  渇き、飢えた、汚れた空気で息が詰まる。  憂鬱さと絶望感で心臓が重い。  視界が狭い。苦しさが鼻をつく。喧騒に押し潰される。頭が痛い。  世界が―――
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