一章

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と一人の将が訊ねると 顔をあげたのは参謀長の臥厳と言う男だった この男は歳を食っているものの頭のキレはかなりいいが普段は自室でゆっくり詩を読んだり茶を飲んだりと案外能天気な男である 「これは失礼いや此度の制圧は今すぐに兵やら弓やらを使わずとも制圧出来ましょうぞ」 この言葉は室内をざわつかせた 「真か?そのような方法など思いつかないが…」 すると臥厳は妖しく笑い 「私は先の報告の様なことは致しませんぞ。簡単な事です。まずは和平の使いを東北に送り和平を結びます。おそらく平等な条約…いやこちらが不利な条件でもよい。『東北の主の息子と我が国の殿の娘つまり王華に契りを結ばさせる』とかの。両家の主がなくなれば男子である東北の方が政事の主軸になるからの。間違いなく応じるじゃろう。」 っつこのジジイめ 「そしてほとぼりが覚めた頃に東北の主を暗殺し、東北の主の継承が決まらぬ内に従属の使者をおくり頷けばよし。頷かぬとも兵の整った我が軍に東北は叶う事は無いじゃろう」 臥厳の言葉が終わると会議室は歓喜の言葉で埋め尽くされた くそっそんなの断じて許さんぞ 「すみません。ご意見よろしいですか?」 「なんですかな王華殿」 「私は六つの頃から武術にはげみ、また六つの頃から女を捨て一人の武人として生きてきました。よって契りは出来ません。」
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