一章

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庭に着いていたがしばらくしたが臥厳の姿は現れなかった。 「臥厳のジジイは何をしてやがる。逃げたか」 すると先ほど話かけてきた将校が慌ててこちらに来て 「口を慎まぬか!きっと厠か何かじゃろう」 と言い終わると臥厳の姿が現れた 「いやはや待たせてしまった。しかし姫君。逃げなくてもよろしいのかな」 そう言う臥厳は小舟を漕ぐための櫂を担いで上半身は何も着ておらず下は口の広い袴を来ていて実に動きやすそうだった 対して私はなにも着替えずにいたから正装のままだった 『なんかずるい気がする……』 「御託はいい。もう始めても?」 「はっこのじゃじゃ馬は相手との力量差も分からんのか」 そう言って櫂を縦横無尽に回しはじめた たしかに『鬼の臥厳』と言われてもおかしくはないかな そう思いながら私は木刀を逆手に持ち水平に構えた 「行くぞ!」 と言った直後先ほどの回転に合わせ櫂を水平に薙いできた 私は咄嗟に後ろに下がり相手との距離をとる しかし臥厳の猛攻は止まらない。横に薙いだ勢いに乗って体を回し続けざまに下から上へと切り上げてきた
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