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「ミャッ!」
「ひっっww!」
「え!?うわっ」
足先に触れる濡れて逆立った毛並み。
驚きに凍りついたのと同時に目の前のドアがこじ開けられるように開いた。
とは言え、僅かな隙間がまた僅か数センチ開いただけ。
瑞穂は、停電の前に見たユキのシルエットを思い出した。
しかし、今はユキの名前を呼んでいる場合ではない。
携帯の明かりに照らされて、ドアの向こう、有明とバチリと目が合う。
有明もまた、突然のことに唖然とし咄嗟に身体が動かない。
薄暗い中に揺れた瑞穂の瞳。
そして、
白くて細い肩。
思わずゴクリと喉がなってしまった。
視線は自然と、
下へと………
「ひっひゃあああああ!」
バタン!!
「痛っっづーーー!」
ゴトン!!
光を放つ携帯が床に転げ落ちる。
有明は、その場にしゃがみ込み、ドアから差し込んでいた方の腕を抑え痛みに悶えた。
「ごごごごごめんなさい!先生!」
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