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謝りつつも、一度は有明の腕に阻まれたドアを瑞穂は再度しっかりと閉めた。
先程とは逆で、今度は有明側が闇に包まれる。
「ごめんなさい!
ごめんなさい!
ごめんなさいぃぃぃ!」
「……いっいいから、
瑞穂さん、早く服着て。」
有明は弱々しく言う。
腕はじんじんと痛むが、こうでもされなければ、あのあと自分の理性を保てたかどうかちょっと自信がない。
(あとちょっとで……
……見えたな……)
痛みに耐えつつ、そんなことを考えてしまう自分が悔しいやら情けないやらである。
そのまま廊下の壁にもたれ、ずるりと座り込む。
少しすると、カチャリという音とともにドアの隙間から仄かな明かりが零れた。
薄手のカットソーにショートパンツというラフな湯上り姿の瑞穂が恐る恐るこちらを覗き込む。
座り込む有明を見下ろす形に、一度驚いた顔をして、次に情けない八の字眉。
「だ、大丈夫ですか?」
有明は恨めしそうにそんな瑞穂を見上げた。
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