第1章~偽りの人~

6/6
前へ
/8ページ
次へ
「でもさ、質問。」 『何?』 「貴方は、なんで“自由の種を探したい”なんて言う馬鹿にされる現実逃避を、全く知らない私に話したの?」 『現実逃避?そんな馬鹿な事じゃない。今の人は、何も考えてない。それに…』 「それに、何?」 『…それに、璃歩を知らなかった訳じゃない。聖音学園(セイトガクエン)1年ビオラ組。名前は知らなかったけど、俺の周りでは有名だ』 「有名…私が?」 『そう。俺が自由になりたいって知ってる連中は、“あの子一年前のお前に似てる”って言った。よく分からないから“なんで?”って聞くと、目が同じだと言われた』 「目が同じ…」 『俺は何故か“あの子”に自由の種を一緒に探して欲しい、と思った』 「なんで?それじゃあ、理由にならない」 それじゃあ、言い訳だ。 というか、目が同じでも、有名でも、自由を探してるとは限らない。 いや、自由なんて普通探さないだろう。 探してる人を見たことないからこそ、言うけど何故私なんだ? ーそんなの理由があるんでしょ。 知ってる。分かってる。 けど、直接言って欲しい。 『璃歩?今さ、何考えてるの』 「は?」 『いやぁ、何考えてるのって』
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加