冬子

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「まあ、良いクスリになったでしょ?」 冬子はそんなこと一切お構い無しで、ふふんと笑って最後まで言い切った。 「な、何で教えてくれなかったのよ!」 「八つ当たりするな。頑固者で人の言うことなんか聞かないくせに。」 そう言われると返す言葉がない。 「アンタには荒療治が必要だったから、丁度良かったんだよ。」 「それにしたって、何か言ってくれても良かったじゃん。」 でも八つ当たりせずにはいられない。恨みったらしく言い寄るけれど。 「言ってやったじゃん、ガチャにも、お上品面の女にも。」 確かにそうだけど。 あれは私の為だったと思いたいけど。 「ああいう女どもの化けの皮を剥ぐのって清々するよね!あん時の醜く歪んだ顔、あれは本来の顔だよね。」 嬉々として話す冬子を見ていると、本当に私の為だったのか疑問だ。
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