冬子

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思惑が外れて二人が仲良くなってしまったら、もう全く太刀打ち出来なくなってしまいそう… 「お手柔らかに…」 先に釘を差している時点で私は既に負けている。 「駿を手放すなよ。何があっても卑屈にならずに、胸張って、愛されてるって自信持ち続けな。じゃないと、誰も浮かばれない。」 ふと、思い出したみたいに言った冬子の表情にドキッとする。 でも、その不確かな気付きは到底口には出来なかった。 「分かった。」 何だか、急に酒の酔いが回ってきたようだ。 カウンターに肘をついて顎を乗せて目を閉じる。 ぐるぐる体が回転しているかのような感覚。 「寝るなよ。」 冬子がクスリと笑った。 「駿、もうすぐ来るから。」 ああ、今すぐ駿君に会いたい。 名前が出た途端禁断症状みたいに会いたい欲求が高まっていく。
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