3220人が本棚に入れています
本棚に追加
思惑が外れて二人が仲良くなってしまったら、もう全く太刀打ち出来なくなってしまいそう…
「お手柔らかに…」
先に釘を差している時点で私は既に負けている。
「駿を手放すなよ。何があっても卑屈にならずに、胸張って、愛されてるって自信持ち続けな。じゃないと、誰も浮かばれない。」
ふと、思い出したみたいに言った冬子の表情にドキッとする。
でも、その不確かな気付きは到底口には出来なかった。
「分かった。」
何だか、急に酒の酔いが回ってきたようだ。
カウンターに肘をついて顎を乗せて目を閉じる。
ぐるぐる体が回転しているかのような感覚。
「寝るなよ。」
冬子がクスリと笑った。
「駿、もうすぐ来るから。」
ああ、今すぐ駿君に会いたい。
名前が出た途端禁断症状みたいに会いたい欲求が高まっていく。
最初のコメントを投稿しよう!