聡史

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「騙したな。」 今まで聞いた事のないような、苛立ちのこもった低い声を出して聡史が私を睨んだ。 「騙した訳じゃないけど。騙すつもりなんてなかったし。」 ちょっと気圧されて、語尾が弱くなる。 「お前、アイツとはただの先輩後輩だって言ったよな。」 でも、聡史の追及の手は弱まらず私をジットリ恨みがましく見る。 「だって、駿君は好きな人がいるって聞いていたから…」 それより、私はマミさんの事で聡史に文句の一つでも言ってやろうかと思っていたんだけど! 私が一方的に責められているのは納得がいかない。 「で、結局勘違いで、イチャイチャしてるんだろうが。」 睨み殺されそうな勢いの私の隣で亜以子がゲラゲラ笑っている。 「聡史、お代わり。」 カウンター越しで良かった… 聡史が仕事中で良かった、本当に。
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