聡史

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亜以子がいて良かった。 「それにしても、美佳子ちゃんが駿君と付き合ってるなんて変な感じ。」 亜以子はまだ笑いが引かないようで、うっすらと涙まで浮かべて私を覗き込んだ。 「で、駿君って…スゴいの?」 「な、何が?」 上擦る声を抑えて返すも、亜以子は鬼の形相の聡史を尻目に言った。 「ナニが。」 「亜以子、てめぇ~」 聡史が亜以子に詰め寄ろうとするも、カウンターの右端のお客から呼ばれて、名残惜しそうに私達を睨み付けながら離れていった。 「助かった…」 ホッと息つく間もなく、興味津々の亜以子が言った。 「聡史と駿君、どっちが…」 「却下!」 最後まで言わさずに強制的に話を終わらせて、亜以子の前にお代わりのアルコールを差し出す。
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