マミさん

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「美佳子さん。」 駿君の声がベットから投げ掛けられる。 甘くて、誘う声。 私は、小さなため息をついて駿君の寝転がるベットに近付く。 退院してから実家暮らしを二週間。 駿君が一人暮らしの家に戻ってから今日は初めてのお泊まり。 まだ傷口が痛むらしい駿君をベットに寝かせて私は夕食作りをしていたが、駿君の甘えた声に引き寄せられてフラフラと枕元に立つ。 枕を背中に入れて、半分身を起こした駿君の指先がチョイチョイと私を呼ぶ。 「ねえ、僕の体を跨いで乗っかって?」 「え?」 更に甘くて柔らかい声で私を呼ぶ。 「早く。」 今までの駿君が私に手加減していたんだって思い知らされる、色気たっぷりの艶やかな誘惑の声。 絶対に私が断れないのを分かっている駿君の、節張った指先が私の頬を捉える。
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