聡史

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「でも、だからなんだな。」 聡史が面白そうに口許を緩ませて私を見た。 「何が?」 「あの日、蝶子ママの誕生パーティで人が足りなくて駿が応援に行ったらしいんだけど珍しく飲み過ぎて潰れて、夕方近くまでスナックに転がっていたってマミから聞いたからな。」 …それって私が聡史と二人で飲みに行ってホテル街を歩いていたのを誤解したから? 「何、ニヤニヤしてんだよ。気持ち悪いな。」 聡史が汚いものでも見るような目付きで私に言った。 ちょっと酷い扱いじゃない? 私にフラれたからって、もうそんな態度なの? 恨みを込めた眼差しで聡史を見るも、プイッと隣のお客の接客に逃げていく。 「まぁ、失恋の痛手から回復するまでは仕方ないね。」 亜以子がププッと笑った。
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