内宮さん

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「そう言えば、テニスサークルはどうしてるの?」 何となく落ち着かなくて、話題を振ると駿君はアッサリと首を横に振った。 「辞めました。」 「え!」 聞いてないよ、と目を剥くとクスリと笑われた。 「テニスは好きだけど、今はそれに時間を割かれたくない。」 「…私が原因?」 私の躊躇いを全く物ともせず、爽やかな王子様スマイルを浮かべて私の頬を撫でる。 「それを言うなら僕が原因?」 「あの人は元気かな…?」 内宮さん。 最後に会ったのはショッピングモールで爆弾発言された時だったな、とぼんやり思う。 「知らないですよ。まあ、テニスサークルには顔を出しているんじゃないですか?」 「何か連絡とかないの?」 「皆と一緒にお見舞いに来てたけど、話してないから。」 どうでも良さそうに話ながら、私の頬を撫でていた駿君の手がするすると下がってきて私の右手を捉えて自分の指と絡ませた。
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