内宮さん

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駿君がそのまま自分の唇の方に引き寄せて、私の指先を軽く舐めながら噛んだ。 「内宮さん、まだ駿君の事を想っているのかな。」 指先の感覚に意識を取られそうになりながら、私はやはり気になって口に出してみる。 「だったら、美佳子さんを嫉妬してるだろうね。こんなにも僕が溺愛しているから。」 駿君が私の目を覗き込んで軽く唇にキスをした。 「…うん。」 「大丈夫、もう酷い事を言われる事は絶対にないから。」 「うん…」 歯切れの悪い私の顔を覗き込む、ね、と言う駿君に私は硬い笑みを返す。 「何が心配?」 「第2第3の内宮さんが現れないか心配。」 プイッと駿君の視線から目を逸らすと、ソッと顎を掴んで自分の方に向けさせる。
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