序章†Clocher du commencement

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ゴーン…ゴーン… ゴーン…ゴーン… ‡*‡ 鐘の音が始まりを知らせた。 教会の十字架は、太陽の光に反射して輝いている。 青い空に白く輝(ひか)る入道雲は風に揺られてゆっくりと過ぎてく。 そんな梅雨入り前の、晴れの日。 「――Lune Blanc町…」 フランス語で、「白い月」と並べただけの、 如何にもオシャレに見せたようなネーミング。 そんな小さな町の中にある、〝とある家〟を私はただ探していた。 「おかしい、地図では確か――」 完璧迷った。そうとしか考えられない。 やっぱり車で送ってもらうべきだったかな? ――ううん。 一度決めたことは絶対に後悔したくない。 後悔なんてしない。 それが私のモットー。 それに、あの大きなリムジンで送ってもらうのには抵抗があった。 だから仕方無くもう少しっ!と、 地図と直感を頼りに〝あの家〟を探す。 .
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