序章†Clocher du commencement

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「ないよ~~っ!!」 その地図も直感も全くと言う程宛にならず。 気が付けば 「Mauve Rose」なんて町に来ていた。 「葵い」と「薔薇」…… どうして同じような名前の付け方なのか。 そんなことはどうでも良くて、今は最優先に家を探さなきゃなのに! 頭はぐるぐるするし、来た道を戻っても違う道につくし。 とりあえず地図を書いた人を、うらんでやることにした。 私は、おばあちゃんに貰った一つの懐中時計を開いて時間を確認した。 ちょっと見にくいのは、しょうがないけど。 「な…」 あれから3時間半も経ってる! どうしようっ! オロオロと歩き回ることしかできないし、焦りは増す一方。 ふと目線をずらすと、鐘の音を聞いた教会の十字架が見えた。 「あ…もしかして!!」 戻って来れたってことかも、と、それだけでも少し安心できた。 .
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