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「――と、ごめんね大樹。
こんなくだんない愚痴に付き合わせて」
そう軽く自嘲しながら言う。
危ない危ない。
自分の世界に浸る所だった。
ぼんやりと眺めていた外の景色から、
慌てて目の前の大樹へ
視線を移し変えると、
ばちっと目が会った。
切れ長で凛とした大樹の目が
私を真っ直ぐ見据えて逃がさない。
「くだらなくないだろ?」
「…え?」
思ってもみなかったそんな台詞に
私は固まる。
「友達みたいとか、
女の子らしくないとかさ、
毎回そんなん言われて別れて。
今ままで冗談混じりに愚痴ってたけど…
ほのか姉知ってる?」
「……なにを?」
「…―いつも、泣きそうな顔してるって」
「…―っ」
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