18.月の光射す湯気の中で

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「……ハイ?」 翔太が目をパチクリと瞬きながら唖然とした声を返すと同時に。 楓がゆっくりと前に――翔太の方へと歩き出す。 一歩、二歩、三歩。 楓が歩く度にピチャリという音が閑静な浴場に反響した。 「……お、オイ」 目の前で立ち止まった楓に翔太は一歩後ずさりを見せようとして――。 「動かないで」 こちらを見上げてくる楓のその言葉に思わずその足を止めた。 「……動かないで、下さい」 囁くようにその言葉を復唱して――楓はゆっくりと背伸びをし始める。
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