18.月の光射す湯気の中で

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「全く……酷い目に遭った」 頭からタオルを被った状態で翔太はそんな事をブツブツと呟きながら楓の部屋に戻るべく西園寺邸の回廊を一人歩いていた。 すると――。 「よっ、神前翔太」 何時の間にか前方には亜里沙の姿があった。 「そんな試合後のボクサーみたいな格好して」 「テメー……どの面下げて俺の前に現れやがった」 「この面だよ、どうだ、美人だろ?」 「二重の意味で顔が変形するまで殴ってやろうかコノヤローが」 拳を握り締めつつ翔太は亜里沙をギロリと睨み付けた。
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