18.月の光射す湯気の中で

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「ちょっと待った――ハイ、こちら薄野」 すると、亜里沙が急に独り言のように語り出した。 よくよく見てみれば、亜里沙の右耳には無線機のようなものが取り付けられていた。 「ああ……了解、解った、すぐに私もそっちに行く」 ピッ、という音が翔太の耳に届いた。 おそらく亜里沙の右耳の無線機が切られた音だろう。 「……という訳で、私はちょっと急用が出来たから」 「えっ?」 「お前は楓の部屋に真っ直ぐ戻って、楓とあんな事やこんな事でもしてろ」 「何を真顔で平然と勧めてるんだよ、おかしいだろ絶対!」 「アッハッハ」とそう誤魔化すように笑った亜里沙は翔太の隣を通って何処かへと駆け出す。
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