🆕そんな趣向(小話)

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寝る気になれなくて、ソファに座って、寛いでいると、ドアをノックする音がした。 気の所為かも――本当は面倒臭いというのが理由の大半を占めているのだが――しれないと、居留守を決め込むと ドンドンと、扉を叩く音が激しいものになった。 仕方なく 諦める気配のない来客に、小さくひとつため息を吐くと、俺はソファから重い腰を上げた (それにしても こんな夜中に誰だ――?) ドアノブを回してゆっくり扉を開くと、同時に何かが此方に倒れこんで来た 「はい、どちらさ――「やっとでてきたぁ……そーいちぃー、もっと早く開けろよー」 ぼすっと、体に凭れ掛かってきた重みをなんとか受け止めると、自分毎転倒するのを避けた。危ない 一体、なんなんだと、ぎゅっと背中に腕を絡めたまま離れない人物を見て、また深いため息を吐いた 「幸村先輩……今、何時だと思ってるんですか?」 「んー?」 「何しに来たんですか?」 「んー」 扉を閉めて 取り敢えず家の中に招くも 直ぐに又抱きついてきて動き難い 今も、胸板に頬を擦りつけていて、何を問いかけても要領を得ない返答しか返ってこない状態だ。 ふわりと幸村先輩の体から香る、独特の匂い 「はぁ……相当酔ってるでしょ?酒臭い」 ぐいっ と体を引き離そうと押しやると、いやいやをするように首を振って眉を歪める 「酔ってないもん!」 「…………」 頬を膨らませる様は可愛いが、お酒が絡んだ先輩は本当に厄介だ ちゅーして ぎゅってして すきっていって 先程から言いたい放題 挙げ句に"もん"って………… 「いや、完全に酔ってるから」 酒を飲むと ツンツンな先輩が甘えたになる。 へらりと笑う顔なんて酔ってる時以外に見れないし、可愛いんだけど
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