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時刻は11時をとうに過ぎていた。
夜行性である自分にとっては、
まだまだ睡魔も寄り付かない時間帯。
一人静かに読書に励んでいると、
机の上でその静寂を突き破るように携帯が鳴った。
俺は珍しい夜の客人に驚きながらも、
激しく振動し騒音を振り撒くそれに手を伸ばす。
そして相手もろくに確認しないまま、
冷たい機械を耳にあてた。
「………誰?」
『あっ高杉ぃー♪俺だよ俺!』
「詐欺か」
『違う違う!銀時ね、つーか声でわかれよっ!!』
夜でも電話ごしでも、銀時は明るく元気がよかった。
それもそうか、授業中あれだけ惰眠を貪っているのだから。
俺の表情が、少なからず緩んだのを感じた。
また、この部屋の空気も暖かくなったような気がするのは、
俺の気のせいだろうか。
『おーい。高杉、聞いてるかぁ?』
「…あァ、早く天パ直るといいな」
『何の話だァアア!天パなめんなコノヤロー!!』
あぁ、馬鹿みたいだ。
静かで寂しい夜が、瞬く間に輝きを増していく。
認めたくないが、俺は本気でコイツが好きなんだなァ…。
冷たかったはずの携帯が、いつの間にか温かくなっていた。
「…ありがとな、銀時ぃ」
きっと、銀時は目を見開いて驚いているだろう。
そんな間抜けな奴の姿を想像すると、
無意識に口許を緩めて笑ってしまう。
『…どういたしましてっ』
ところが、銀時のこのような反応は予想外。
楽しそうで嬉しそうな、そんな幸せを感じさせる声に、
俺の方が至極驚いてしまう。
意味が分かっているのか問いただそうとすると、
銀時は優しすぎるほどの声音で俺に囁いた。
「何も気にせず、寂しかったりしたら電話しろよ?』
「っ…な、何で…!//」
余裕気に微笑む銀時の顔が頭に浮かぶ。
俺は動揺した、というかするに決まってる。
確かに、寂しい。
銀時に会えない、話をできない時間はいつも。
でも、言わない…言えるはずがない。
心中を見透かされ、驚いた俺は何も言えずにただ口を開閉した。
『…愛してる、高杉』
電話ごしに、銀時の甘い甘い声。
時刻はそろそろ、今日の終わりを告げようとしている。
深い深い、夜のこと。
自分の全てが、アイツに包まれたように温かい。
俺は幸せに微睡みながら、緩やかに銀時の温もりに身を委ねた。
ありがとうございました!
相変わらずの駄文クオリティww
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