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そこで俺達は気がついた。
実は俺達メンバーは、この四人が全員ではない。
俺達のメンバーには唯一の女子メンバーが一人いた。
名は観園音(みそのかのん)。
彼女も中学時代からの友人なのだが、高校を入ってからは俺のメンバーから離脱し、一人で行動している。
そんなカノンの趣味はバンド。
ギター片手にボーカルも担当していて、俺達が一年生だった去年の文化祭では初登場ながら校内人気ナンバーワンのユニットにも選ばれた、その人気ユニットの核的存在になっている。
ジャンルはロック。
エキサイティングなビートで会場を盛り上げ、一つ一つの歌が物語となっているのがバンドの特徴だ。
それにカノンのチームは凄い。
その活動を通して、自主制作でCDを作っているのだ。
そのCDを俺も何枚か持っている。
名前は英語が多くてあまり覚えてはいないのだが。まぁ、良い曲が多いのは確かだ。
しかし、だからこそバンドをしているカノンの姿はとても楽しそうで、カノンを思う俺達としては付け入る隙もないのかったりする。
そして冬弥の場合、カノンを朝食だけで一緒にと、音楽室に顔を出していて、今日もカノンの下へと会いに行っていたのだ。
「今日もバンドの練習で来れないってよ……」
「『今日も』、か……」
しかし、カノンが俺達の前に顔を出したことは一度もなく、会いに行った効果は一度も得られていない。
それに周りの生徒も俺達とカノンの関係を知らないため、雅俊が毎日取ってくれている席も三つが限界だ。
「しょうがないさ。でもな、俺達が諦めなければ、きっと思いは伝わる」
冬弥がそう締めくくり、俺達はその話を終わりにした。
しかし何故だろう。
そこからは会話という会話が続かず、単文だけが何回も俺達の間を行き交った。
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