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苦笑しながら俺は答える。
そう、誰が思っただろうか。
中学校の三年間を馬鹿しながら暮らしてきた俺達が一人とはいえ、バラバラになるなんて思っていた奴なんて、傍観者も俺達メンバーも思ってもいなかった。
ただ、この時間がずっと続けばいいと思っていた俺には少なからず考えられないと断言できよう。
雅俊は表情を崩さない。
その真剣さが俺にとってはありがたい。
「俺も思ってもみなかったさ。そして、それは悲しいことだとも思う」
「雅俊はカノンに戻ってきてほしいよな??」
「当たり前だ。俺達は五人で一つだ。彼女がいないことに不快を抱かずにはいられないさ」
しかし、っと雅俊は続ける。
「彼女なりの見解があるのだとすれば、俺達が口を出す隙間などないのだろうな」
「でも―――」
否定に口を開こうとしたが、俺はその過程で動きを止めてた。
雅俊の言っていることは最もだ。
彼女の道は彼女が選ぶ。それは俺達だとしても変わりはない。
だから、カノンを無理強いすることはしてはいけない。
そう思うと否定することが出来なかったのだ。
やがて俺は昔のことを振り返る。
忘れるはずない、辛かったけどそれ以上に綺麗な記憶を。
昔、俺はいじめられていた。
それは俺が中学生の時のこと。当時の俺は強くなんてなかった。
いや、今も変わらないかもしれない。
しかし、当時の俺には自ら誇れる友達がいなくて、今の俺には彼奴らがいる。
それが当時の俺にとっては大きかった。
結果論として、俺は自殺を試みた。そこが学校の屋上というのだから迷惑な話だ。
しかし、俺の目の前に四人の生徒が現れ、それを止めたのだった。
それは説明するまでもない、冬弥達のことだ。
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