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屋上で冬弥達が俺を助けてくれたあの日から、俺は部活を止め、こいつら馬鹿達と馬鹿をしてきた。
それはこれからもずっと変わらない。
だからこそ、俺達は今も行動を共にしていのであって、カノンのことだって諦められる筈がなかった。
しかし、カノンは俺達と距離を置いてしまった。
それはとても悲しいことで、俺としては今すぐにでも戻ってきてほしい。
当たり前だ。
カノンは俺の恩人その一なのだから。
カノンには死んでも返せないほどの恩があり、距離を置かれたからと言って「はい、さようなら」などと言える筈がない。
きっとカノンにはカノンなりの理由があって距離を置いているに違いない。
「そうだな。だから俺達は俺達の考えたことをしよう」
「えっ??」
雅俊がそんな事を口走っていた。
それは先ほどの雅俊の言葉とは結びつき難いものだった。
「確かに俺達は彼女をとよかく言えないかもしれないが、彼女も俺達をとよかく言えない。
だから俺達は俺達であり続ければいい。
もし拒絶されたとしても、腰を据えて待つとしよう」
「……あぁ!!」
つまりはそういうことだった。
カノンが変わっても、俺達が変わる必要はない。
いつもみたいに馬鹿やって、それを見かねたカノンが輪に戻ってくる。
それが俺達が望んでいる最高の結末なのだ。
そう、俺は俺が思った方法でカノンを連れ戻せばいいのだ。
「でも、どうやって……」
「音楽室に行けばいいんじゃないか??あそこに行けば、カノンが所属する軽音楽部が活動しているはずさ」
その言葉に俺は同意する。
すると、雅俊も安心するように微笑んでみせた。
手始めには彼女と向き合うことが肝心だ。
少しだけでもいいから話をしよう。
そうすれば糸口を掴めるかもしれない。
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