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「あっ、こらっ!!待てお前ら!!」
その言葉が最後。巡回員の声が段々遠ざかっていく。
「ちょっと直紀、あんたの所為だかんね!?あんたが大きな声を出すから――」
「何だよ、お前だって顔真っ赤にして俺のこと追いかけてきたじゃねぇか!!」
「何ですって!?」
「何だよ!?」
そんな逃げてもなお、いがみ合っている二人を見て、俺達はまた笑った。
すると、当人である直紀とカノンもそれに気づいたのか、取りこぼす様に笑っていた。
そう、この時は何もかも上手くいっていたんだ。
カノンがいて、直紀がいて、雅俊がいて、そして冬弥がいて。
俺達は輪を作ったままでいられたんだ。
しかし、俺は気付けていなかった。
やがて俺達の前に、大きな過酷が立ちはだかることを。
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