3人が本棚に入れています
本棚に追加
「彼の名前は成瀬直紀。
俺のクラスメイトでありルームメイトである彼は、リアクションがとてもいいためか、クラスでは弄られる傾向がある。
ポジション的にいえばツッコミ側に辺り、どんなに弄られても常に前向きな性格は時にお金を払いたくなるが、彼とは色々と訳あって中学時代からの仲。
つまり、腐れ縁である」
「って、お前は何ギャルゲの主人公みたいに>俺を紹介してるんだよ! しかも、めちゃくちゃ失礼だし」
「いや、俺はあくまで事実を述べただけで、その方がお前のためかなと思ってさ」
「ナニが!?」
「お前の出番、もう無いし」
「なんだと―――!」
直紀がやがて絶叫する。
こんな風に、直紀は周りを面白くする力を持っている。
リアクション王だとか、バカだとか言われているが、それは愛するべき馬鹿だ。
そんな愛すべき馬鹿は、俺は好きだ。
それは周りの皆も同じ。
皆、その馬鹿が好きだった。
それにこの学校に入ったのも元はと言えば彼と同じ学校に通いたかったからだ。
彼と馬鹿をしたい。
そう思って俺は彼と同じ高校に進んだのだ。
それでも、まさか学生寮のルームメイトにまでなるとは思ってもいなかったが。
やがて、俺は話が拗れていない内に話を戻す。
「それにしてもなんだ、今日は何時になく早いんだな??」
「あぁ、何か目が覚めちまってよ。 お前が起きるまで黄昏てたわけよ」
「何だよ、水臭いな。別に起こしてくれたって良かったんだぜ??」
俺が微笑しながらそう言うと、直紀は首を小さく振りながらそれを否定した。
「いや、いいんだよ。俺の役目もそろそろ終わるし。最後に区切りを付けときたかったんだ」
「……役目??」
「いや、こっちの話さ」
最初のコメントを投稿しよう!