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「彼の名前は古賀雅俊。
常に冷静沈着で、明鏡止水なんていう和風な言葉がよく似合いそうな男だ。
性格は穏やかで、相手を選ばず優しいのが彼の特徴(アイデンティティ)である。
ちなみに彼も俺達二人とは中学時代からの友人だったりする」
「……一体何なんだそれは」
「あぁ、朝からこの調子なんだが、なんでもギャルゲの主人公が所望らしい……って、俺と扱いが全く違うじゃねぇかよ!」
そう言って直紀は俺の胸倉を掴み前後に揺する。
それに知らん顔をすると、直紀は元気を無くし、俺は満足げにコップに水を注いだ。
「それにしても、彼奴はまだ来ないのか?」
「あぁ、彼奴は俺達と違って色んなことをしでかしているからな、今日はどっかの部活の朝練にでも混ざってるんじゃないか??」
直紀が雅俊に訊ねると、雅俊は少々呆れたような顔をしてそう答える。
そして、それはまるでアイコンタクトをとった様に、俺達は一斉にご飯を食べ始めるのだった。
それは俺達から言わせてしまえば当然で、特に俺達は動じることなく日常会話を続ける。
「それにしてもアレだよな」
「んっ?」
「球技大会だよ、球技大会。お前たちは何に出る予定なんだ?」
「あぁ……」
やがて直紀が球技大会について話題を振ってくる。
球技大会。五月の終わりに開催されるそのイベントは、毎年異様なほどな盛り上がりを見せる。
種目はバレーにバスケ、サッカーに野球の四つで、俺は去年はバスケをしたのを覚えている。
といっても、そらはただの気まぐれに過ぎなくて、どの種目も俺にとっては団栗の背比べだった。
「どうすっかな……」
「なんだ、なんだ?二週間を切ってるっていうのに、まだ決めてなかったのか?」
「うるせぇ、ならお前は決まってんのかよ」
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