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ガリムはゴムボールを片手で弄びながらゆっくりと近づいてくる。
籠の中に入っていたボールたちはガリムの怒りに反応するかのようにガタガタ震えだした。
「あのな……アルフォード、アルフォード・マクティス……。
お前がどんなに剣の腕が立ち、学校長に気に入られているにしてもだ…………
授業中に居眠りをしたり、
貴族の子と喧嘩をしたり、
武器庫に忍び込もうとしたり、
備品を壊したり、
規則を破って夜中抜け出して魔物を狩りに行ったり、
学校の薬品をくすねて密売したり、
挙句の果てにはワシの授業を放棄する……
そんな馬鹿者をワシは認めんし、貴様のその面を見るたびにワシはのう……ワシはのう……」
刻まれた皺が鬼の形相にさらに凄みを増している。
ガリムはアルフォードの目の前で止まった。
ああ、聞こえてくるよ。呪詛のような声が
とうとう、その怒りで籠のボールは外に飛び出し緑の魔力を纏ってガリムの周りに展開した。
(これ以上は不味いであります。直ちに何とかするであります)
「いやぁ・・・そんなにもガリム教官に覚えていたただけるとは俺も本当に光栄です。こんなところで油売ってるわけには行きませんね。用事を思い出したので俺はこれで―――」
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