宿命

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青年は声をあらげ、ベニに近づく。 この方は何を言っているのです? せっかく会えたって…以前にどこかでお会いしたのでしょうか? それに、窓からってここは地上からどれほどの高さがあると…。 頭が混乱しているベニの体が急にグラリと傾いてスッポリと青年の腕の中に閉じ込められた。 あまりの驚きにベニは抵抗することも出来ずに体を固くした。 「俺さ、アラルニカ王国の姫を殺しに来たんだ。もう前のような結末にしない為に。だけどお前が姫だとは思わなかった。」 ベニの耳元で響く青年の声。 「呪われた姫君が世界の崩壊の元凶なんだよ。その元凶を絶たなければまたバッドエンドだ。だけど…俺はまたお前を殺さないといけないのか?どうして一緒に幸せに生き抜くことはできないんだよ!?」 段々と青年は泣きそうな声になり、抱き締めている腕にも力がこもる。 ベニはドクドクと激しく心臓が動くのを感じていた。 私は確かにこの方を知っているのです。 この腕、このにおい、この力を…。 「ルタ…?」
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