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「………切るぞ」
『ーっ!ち、ちょっと待ちなさいよー』
「んだよ」
『えっと、そのぉ……………あ、ほら、翼っていつも仕事で大変でしょ?だから今度ご飯作りに行こうか?』
「………どこに?」
『家に』
「切るぞ」
と、冷たく鷲宮が言い放ち、携帯電話を閉じかけた所で再び彼女が『まってよ!』と叫び、鷲宮は動きを止める。
『そ、そんな怒らなくていいじゃない』
「はぁ………」
なんだかやりとりをするのもバカバカしくなってきた。
ビルの電光掲示板には、『噂の高校生アイドルが新東京市に留学!』とでかでかと記されていた。
どうでもいいけど。
『翼の家に行きたいなー、なんて──』
ブチ
と、彼はちゃんと「切るぞ」と再三注意してから携帯電話の受話器ボタンを押した。
「………何がいいたかったんだよ、ったりぃな………」
荒く息を吐いて、鷲宮は夜の新東京市に溶け込んでいく。
星は満点の笑顔を都市にもたらす、が、誰がそれを気にしているのだろうか、誰がそれを考慮に入れているだろうか。
そして、だれが解るだろうか
この都市が平和である裏に、1人の少年の『命』が犠牲になったことを。
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