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「しかし、あれだな優翔」
「ん?」
「私が通う学校では、お菓子は午後3時に食べるものだ、と先生が言っている。だが実際大人達は3時以外でも食べているぞ」
「えっと……………それは……」
「現に今だって沢山の人間がクレープを食べている」
自分は小学生のときそんな疑問持たなかったなぁ、と優翔は感心しながらも頭を捻る。
「……きっとここのクレープが美味しすぎるんだよ」
「む……確かに、ここのクレープはめちゃくちゃ美味しいな……うん!」
コクリ、と頷くと再び笑顔になって彼女はクレープを口にほうばった。
あんな解答で良かったのか、と優翔は申し訳ない気持ちになったが、葵は賢い子だ。きっと、優翔が困っているのかわかったのだろう。
「む、そういえばな……」
と言って葵はガサガサ、と自分の手提げをあさる。
「これだ」
すっ、と渡されたのは『新東京市スタンプラリー』と書かれた学校からの手紙だった。
どうやら親子一緒に新東京市内を回るものらしく、葵が通う学校ではもうすぐそれが開催されるのだという。
新東京市内と言っても、葵が通う学校がある第3区内を周りを歩いて、散らばっている先生からスタンプをもらおう、といった企画である。
ちょっとした遠足のようなもので、生徒会のメンバーも交通整理などをしてくれるらしい。
学校側の目的とすれば、子供達を早く街に慣れ親しませる事だろう。
外から魔技術都市に来る子供は多いのだ。
優翔は開催されるのがちょうど一週間後であるのを見て、胸をなで下ろした。
「あぁ大丈夫。行けるよ」
「ほ、ホントか!優翔!」
「あぁ」
と言って優翔が頭を撫でると、彼女は気持ち良さそうに目を細めた。
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