ある晴れた日の事でした

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「……んで、今日は一体どんな用事なんだよこの野郎」 「ん、とね。えっと、こっち、長谷川さんね。この子、実は無くし物をしたのよ」 「……………」 ぱっ、と鷲宮が長谷川を見ると、彼女はにへへ、と気を遣うように笑顔にし、頭を縦に四回振る。 肩まで伸びているツインテールは可愛らしい鈴の髪留めがつけつあり、頭を振るたびにチリン、という音が鷲宮の耳まで届いてくる。さらに茶色がかった髪は相手に不快感を与えない程度の色であり、どちらかというと爽やかな印象を与えるよなぁ、と鷲宮は率直に思った。 「………んで、何を無くしたっていうんだよ」 「ぽ、ポーチです………ピンク色の」 「チッ…、ポーチなんか無くすなよ」 「うぅ……………」 完全に蛇に睨まれたカエル状態になっている長谷川夏奈を見て岬は鷲宮の足をグリグリと踏みつけた。 だが、彼はそれを無視して話を進める。 「んで、長谷川、ポーチっつうのはどういんのなんだよ」 「あ、は、はい!」 声を張ると一生懸命説明を始める夏奈。 と、いうより、スケッチブックを広げて絵を見せてくれる。 正直言ってどんなにひいき目で見ても、ただの安っぽいポーチにしかみえなかったのだが。 「大切な物なんです…えと………その…………」 「あーあー、別に理由なんかどうだっていい。言いにくいなら黙ってろ」 「は、はい………」 ひらひら、と鷲宮が手を振ると、岬は再びグリグリ足を踏みつけながら鷲宮に口を近づける。 「ちょっと……、もっと言い方ってもんがあるでしょ?」 「チッ……うっせ」 「もう…………」 と言うと説得は諦めたのか、鷲宮の足を踏みながら(ていうかいつまで踏んでんだよこの野郎)少女に向かって口を開いた。
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