45人が本棚に入れています
本棚に追加
大概の奴らとは知り合いだから、もちろんトラブルに巻き込まれる事は少ない。
「……………はぁ……見つかるのかね」
溜め息一つ零した所で何が変わるワケではないが──ともう一度溜め息をつきそうになった所で鷲宮の携帯電話が鳴る。
電話の相手は岬だ。
一体なんだよ、別れたばっかりなのに、と乱暴にボタンを押す。
「はいはいもしもしこの野郎」
『あっ、翼?あんた明日から探しにいくの?』
「んー、あー、今日から」
『あんまり夜遅くまで歩いちゃダメだよ』
「るっせーな、お前は俺の親かよ」
『友達よ』
「あぁはいはい」
ぷんすか、と彼女がハーフツインを揺らしながら怒っている姿が頭に浮かぶ。
因みに岬はハーフツインの髪留めにいつもプラスチックのクマのアクセサリーがついた物を使っている。子供か。
『だいたい翼ってどこに住んでんの?』
「はぁ?」
『いや、あんたってほら、2区には住んでないでしょ?』
「んー………あぁ」
『何区なの?』
何区なの?か。
鷲宮は少し考えた後、下手な事は言わない方がいいな、と考えて素早く「第4区」と言った。
『第4?』
新東京市はまず中央に第1区があり、それを取り囲むように、右上第2区、右下第3区、左上第4区、左下第5区、最右6区、最左第7区となっている。
最初のコメントを投稿しよう!