ある晴れた日の事でした

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大概の奴らとは知り合いだから、もちろんトラブルに巻き込まれる事は少ない。 「……………はぁ……見つかるのかね」 溜め息一つ零した所で何が変わるワケではないが──ともう一度溜め息をつきそうになった所で鷲宮の携帯電話が鳴る。 電話の相手は岬だ。 一体なんだよ、別れたばっかりなのに、と乱暴にボタンを押す。 「はいはいもしもしこの野郎」 『あっ、翼?あんた明日から探しにいくの?』 「んー、あー、今日から」 『あんまり夜遅くまで歩いちゃダメだよ』 「るっせーな、お前は俺の親かよ」 『友達よ』 「あぁはいはい」 ぷんすか、と彼女がハーフツインを揺らしながら怒っている姿が頭に浮かぶ。 因みに岬はハーフツインの髪留めにいつもプラスチックのクマのアクセサリーがついた物を使っている。子供か。 『だいたい翼ってどこに住んでんの?』 「はぁ?」 『いや、あんたってほら、2区には住んでないでしょ?』 「んー………あぁ」 『何区なの?』 何区なの?か。 鷲宮は少し考えた後、下手な事は言わない方がいいな、と考えて素早く「第4区」と言った。 『第4?』 新東京市はまず中央に第1区があり、それを取り囲むように、右上第2区、右下第3区、左上第4区、左下第5区、最右6区、最左第7区となっている。
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