序章

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この山の中腹に一人の鮪漁師、保田国重の家がある。国重はこの港一番の大漁師であり、黒鮪の時期ともなれば一度の水揚げが数百万円を越える事も珍しくなかった。 港一番の大漁師、保田国重。 今夜は彼の通夜である。 国重の妻は早くに病没しており、人付き合いも苦手だった国重の弔いには寺の住職と数人の漁師仲間、それに北海道に移り住んだ、弟夫婦のみが訪れていた。
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