気付いたその日から

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福田は他の人のことに関しては鋭く気づくくせに、自分自身のことが絡むと途端鈍くなる それだけ自分に興味がないというか…テキトーなのである やから俺としては少しでもいいので自分自身に関心というか…危機感を持ってほしいと思っている 『それじゃあ俺、もう電車乗るから』 「あ…あーわかった…それじゃあ」 『おん、またな』 ―プッツーツーツー… 繋がっていない携帯を耳からゆっくりと外し、閉じると胸ポケットへとしまう …今日も来てくれるんか… そう思うとさっきまで出なかったやる気がフツフツと沸き上がるのを感じた 「よし…さっさと授業を終わらせて家に帰るか」 自然と教室へと向かう足取りが軽くなった気がした 家にたどり着けば思ってた通り、すでに明かりが… 「ただいまー」と言えば「おかえりー徳井」の言葉と共にエプロン姿で玄関まで福がお向かえにきてくれた ―ジー… やっぱエプロン姿似合うなー… 上から下までエプロン姿の福を食いぎみに見ていると、福は何を勘違いしたのか慌てて「あっ勝手にエプロン借りたんやけど…」と申し訳ない顔をしてエプロンを脱ぎだした .
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