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「爺ちゃん…どうしたら…どうしたら姉ちゃんを…」
言い終える前に、冷龍は気づいた
自分と祖父に向けられた視線に…
その視線を向けているのは、流れ者の青年だった
「ッそうだ!なあ、アンタ!」
冷龍が壁に寄り掛かっていた青年に駆け寄る
「アンタ、武器持ってんだろ!姉ちゃんを…姉ちゃんを助けてくれよッ!」
「そうだな…あの子には恩がある。助けに行こう。」
「ほ、本当か!?」
「だが…それだけでいいのか?」
青年が冷龍の目を真っ直ぐに見つめる
「え…?」
「あの子を助けるだけでいいのか?…奴らから、解放されたくないのか?」
「解放…?…されたいさ…されたいに決まってるだろ!?」
「でも…でも俺にはできないんだよ!力が…力がないから…!姉ちゃんを…人一人助ける力すらねぇんだよ…!」
泥で汚れた自分の手を見つめ、悔しそうに握りしめる
「なら…俺がやる。」
「え…?」
「あの子を助け、奴らを討つ…」
「お前のその意思…俺が代行する。」
そう告げると、青年は家から出ていった
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