ならず者

3/19
前へ
/44ページ
次へ
あの村を出てから丸二日…シロガネは飲まず喰わず歩き通していた 彼が母国を離れ、ここに来てから三年はたつ そして、行き倒れた回数は二桁に達している せめて、村で水だけでも分けて貰えば良かったものを…彼は余りにも無計画だった 「ワンッ!ワンワン!」 遠くの方から犬の鳴き声が聞こえる… それと、人間らしき足音も…飼い主だろうか 起き上がりたくとも起き上がれないシロガネは、そのままジッとしている事しか出来なかった 「ッ!人が倒れてる!だ、大丈夫ですか!?」 犬の飼い主がシロガネに気づき、駆け寄ってきた 声は若い…女の子だろう シロガネは抱き起こされ、目を開く そこには白人の少女とシェパード犬がいた 「だ、大丈夫ですか?」 少女はシロガネの顔を覗き込み、心配そうに問い掛ける 「す、すまないが…水を…くれないか…?」 大丈夫かどうかはさておいて、シロガネは声を振り絞って水を所望した
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加