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「喧嘩するほど仲がいいって言うけど、程々にね。僕は寝るから」
と言う庵乃の顔が心なしか紅い。
仁は喧嘩など忘れて庵乃を心配した。
「庵乃、顔が紅いぞ。熱でも出てるんじゃないか?」
庵乃は大丈夫と言ってベッドに入ってしまった。
「庵乃はいつもあんな感じだから気にするな」
荊が仁に声をかけてくれた。
いつものことなら大丈夫かと仁は自分に言い聞かせた。
荊は仁から離れ、階段の方に向かった。
手には木刀を持っている。
「こんな時間にどこに行くんだよ」
仁が引き止めると荊は仁の方を向いた。
「お前には関係ねぇよ。仁もさっさと寝ちまえ。この部屋から一人で外に出るなよ」
荊は階段を下りてどこかに行ってしまった。
自由なヤツと仁は思ったが言われた通り寝ることにした。
転校初日で少しばかり疲れていたのかもしれない。
気付いたら仁は眠っていた。
「朝だぞ、起きろ」
仁が目を開けると庵乃が目の前にいた。
「おはよう」
仁は起き上がり、伸びをする。
庵乃はもうすでに制服を着ていたので、仁も顔を洗い、歯磨きをして制服に着替えた。
「そう言えば荊は?また風呂?」
「僕が起きた時にはもういなかったよ」
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