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交通事故で両親を亡くした、判日仁(ばんじつじん)は祖父に引き取られ、全寮制の学校である八界学園(はっかいがくえん)に転校してきた。
仁が校門の前に行くと一人の青年が立っていた。
仁は気にせず、門を潜ろうとすると青年が声をかけてきた。
「君が判日仁君?」
「そうだけど」
「僕は泉堂庵乃(せんどうあんない)。今日一日、君の世話係なんだ」
庵乃はにっこり笑って手を出してきた。
こんなイケメンと一緒にいたら転校早々、痛い視線の的になりそうだと思いながら仁は握手をした。
「荷物は寮の方に届いていると思うから、まずは校長先生に挨拶に行こうか」
庵乃は颯爽と歩いていく。
仁は慌てて後を追いかけた。
校舎に入るとすぐそこにあるエレベーターに乗り込む。
庵乃は四階のボタンを押し、エレベーターが動いた。
四階に着くまでの沈黙が辛い。
仁は口を開いた。
「あの、泉堂君」
「庵乃でいいよ。うちの学校、君を入れて男は三人しかいないし。僕も仁って呼ぶね」
庵乃はキラキラスマイルを仁に食らわす。
男なのに惚れそうになる仁は深呼吸して自分を落ち着かせた。
「おう、分かった」
「それで僕に何か用だったんだろ?」
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