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桐島は自分の絶叫を聞いて飛び起きた。
その音が聞こえるほどに心臓が激しく鼓動している。
呼吸を整えながら現在の状況を整理する。
見慣れた風景、ここは自分の部屋だ。
カーテンから覗く外の様子は、就寝時とさほど変化なく未だ闇に包まれている。
おそらく早朝、日も出ていない頃合だろう。
ああ、またか。
桐島はそう思った。
ずきずきと痛む頭を左手で抱えながら起き上がり、洗面台へふらふらと歩いた。
電気をつけると鏡の中には、目の下にクマを作った不健康そうな青年が立っていた。
ただでさえ、さえない顔なのがより際立って貧相な顔立ちになっている。
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