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呼び鈴を押すと、間延びした電子音が微かに聞こえた。
しばらくしてドアが開いた。
疲れた顔をした『おばさん』が顔を覗かせる。
「あの、お久しぶりです」
「……はぁ、どなたでしょう」
おばさんは桐島の顔を訝しげに凝視して数秒考えていたが、突然目を見開き息を呑むと、掠れた、小さな声を漏らした。
「もしかして、あなた――」
「桐島です。
美咲さんに線香をあげたくて」
おばさんは目を見開いたまま桐島を中へ通した。
彼女と最後に会ったのは丁度一年ほど前だったが、彼女が分からないほど酷い顔をしていたのだろうか。
それほど人相が変わってしまったとは思って居いなかったので、何か言いようのない寂しさを感じた。
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