悪夢

11/11
前へ
/54ページ
次へ
仏壇に美咲の遺影が飾られていた。 気恥ずかしそうに笑う美咲の顔の前で、線香の煙がゆらゆらと揺れている。 桐島はその前に座ると両手を合わせ目を瞑った。 瞼の裏には悪夢に見た映像が微かに焼き付いていた。 恨めしそうに桐島の首を締め付ける美咲の顔があった。 一年前、美咲は桐島の目の前で死んだ。 悪夢を見始めたのはそれからだった。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加