加奈子さんの心霊探偵事務所

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加奈子は起きるとまず顔を洗う。 それはなんとなく習慣化しているもので、朝一番にそれをしないと、今日という一日が気持ち良く過ごせないのである。 タオルで顔を拭いていると、包丁のトントンという音が聞こえてくる。 これも毎朝のことで、リズムよく聞こえてくるそれに心地良くなって、なんだか眠たくなってくる。 二度寝してしまおうか、なんて葛藤しながら、加奈子が台所に顔を出すとミズキが朝ご飯を作っていた。 「おはよう」 ミズキが笑顔で朝の挨拶をする。 一方、加奈子はそれを欠伸で返事してミズキの肩に乗っかってみたりする。 「あ、危ないよ!」 ミズキは慌てて包丁を置くと、そのまま加奈子をおぶってソファーに寝かせた。 「もう朝ご飯できちゃうから、少し待ってて下さいね」 トタトタとスリッパを鳴らせて、ミズキが台所にかけてゆく。 「新聞は-?」 「テーブルの上に置きました」 加奈子が聞くと、台所から声だけが返ってきた。 なるほど、テーブルに目をやると新聞が乗っていた。 加奈子は新聞を広げる。 まずは今日の天気だ。 今のところは太陽が出ているようだけど、雨はいつ降ってくるかわからない厄介者なのだ。 「今日は1日、快晴ですよ」 加奈子が天気予報の欄を見つける前に、ミズキが教えてくれた。 新聞には確かに快晴だと書いてある。 ミズキは、加奈子がまず天気予報をチェックすることを知っている。 それを見越して、あらかじめ新聞に目を通していたのだろう。
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